書評
“人工呼吸は苦手……”そう思っている人に朗報!
鈴木 眞知子
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻成育看護学
pp.961
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101203
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本書を手にして初めに思ったことは,表紙や挿絵のイラストのユニークさです。このイラストは,電動車いすや終日NPPVを実際に使用されている方々によって描かれたと記されています。私が長期人工換気の必要な子どもたちの在宅支援に携わり始めた1990年頃は,在宅への移行を可能にするための条件の1つに「気管切開をしていること」があげられていました。また,その当時,一般的には「人工呼吸器は,死ぬ間際につけるもの」といったイメージがありました。しかし現在,それらの認識は一掃され,楽しいイラストが表わしているように,NPPVは患者にも,家族にも「やさしい」人工呼吸器で,QOLの維持・向上を可能にする方法であることがわかります。
数年前,私は編者の石川悠加先生と,脊髄性筋萎縮症の重症型(SMA-1)で,兄弟ともに24時間NPPVを使用されているニュージャージー州のご家族を訪問したことがあります。9歳と5歳の兄弟は大好きな野球のグローブやスニーカー,地球儀や熱帯魚が泳ぐ水槽などが置かれている子ども部屋で,笑顔のお母さんや訪問看護師,作業療法士からケアを受けていました。そして,ケアが終わると兄弟は座位で電動車いすを利用し,お友達と近くの川へ魚釣りに出かけるということでした。
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