連載 ヒト・モノ・バをつなぐ認知症ケア―今日のデザインの役割・2
環境配慮(工夫)の原点
山崎 正人
1
1東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程
pp.686-689
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101141
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目に見えないものと向き合う
●感覚をデザインする
前回,デザインは問題解決学,そしてデザイン領域には道具・空間・視覚伝達系の3つのデザインがあると述べました。ここで,少し補足と私の職業について説明します。私の専門はプロダクトデザインです。これまでに雑貨,家電製品,医療器などいろいろな道具のデザインをしてきました。
今日,プロダクトデザイナーが携わる範囲は日々広がっています。イタリアのジウジアーロ氏(Giorgetto Giugiaro)はカーデザインの巨人として有名なプロダクトデザイナーですが,創業100年を誇るパスタメーカーから大衆受けする新しいパスタのデザインを依頼されました。何枚ものスケッチや図面から試作が繰り返され,試食時には口に入れた時の心地さや歯触りの良さという「感覚」までデザインし,完成品は美味しそうで滑らかな外観,ソースの絡みもよく,茹でる時に壊れにくい形態にまとめ上げられており,発売後,世界中から大きな反響があったそうです1)。
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