特集 安全な看護を支える設備やモノの再点検
安全性に配慮した施設環境の再点検
筧 淳夫
1
1国立保健医療科学院施設科学部
pp.86-89
発行日 2003年2月10日
Published Date 2003/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100778
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はじめに
医療施設における安全性に対する評価基準は,他の建築物におけるそれと比較して非常に高いものが求められている。たとえば,1人でも死者が出る火災が発生するリスクは,住宅のそれに比較して非常に低いものであるが,ひとたび医療施設において火災により患者が死に至ることがあれば,その事故に対する社会の取り扱いは,他の建築物の事故と比較して,とても厳しいものとなる。
このように,高い安全性が求められる上に,医療施設独自の安全性の問題もある。すなわち,近年医療界において大きな課題となっている,医療事故を予防するための安全性である。医療事故に対する安全性の確保のためには,医療事故の原因のうち,ヒューマンファクターに対する分析や対応を考えるのみならず,医療行為が行なわれる舞台としての建築や設備の安全性についても配慮する必要がある。
本稿では,国立保健医療科学院施設科学部において行なっている施設環境評価研究の中でまとめた『施設環境評価チェックマニュアル』1) の中から,主として「医療行為の保障」と「安全性の確保」の2つの評価軸を取り上げ,医療施設の安全性の問題について,施設・設備的な点から検討を行ないたい。
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