実践報告
在宅におけるがん末期患者との関わり方の模索―傾聴とは
小桧山 美子
1
1訪問看護リハビリステーション銀鈴の詩
pp.310-315
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101054
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
がん末期となり入院での治療が終了し,自宅で最期を迎えたいと願い退院する患者にとって,在宅医療機関は必要不可欠な存在である。病院では在院日数の短縮化が進められており,2006(平成18)年診療報酬改定においても「在宅療養支援診療所」の評価・緊急訪問看護加算の新設・重傷者管理加算の引き上げ・ターミナルケア加算の引き上げ等が行なわれたことからも,訪問看護がより重要性を増していることが認められる傾向となっている。
当訪問看護ステーションは在宅ホスピスを目指し,在宅での看取りに積極的に取り組んできた。私は3年間で20余名の在宅看取りを行ない,その1人ひとりと向き合う中で,悩みが生じるたびに参考書などを読み対処してきた。主にスピリチュアルペインへの対処に悩んできたが,それについて特別学んでいないのにもかかわらず「死」という人生最大の重要な場面に関わってしまったことの重大さに気づき,うまくいかなかった事例を後悔し悩んだ。悩むとは,こうであらねばならぬ自分と,あるがままの自分にギャップがあるということである。自分には何が不足していたのかを知りたいと考えた。ペプロウは「自己を知るということは,看護の仕事を行なう者には絶対に欠かせない必須条件である」1)と述べている。今回,自己を知る出発点として印象に残っているSさんとの場面を再構成し,自身の看護援助と対人関係の課題について考察することができたので報告する。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.