連載 わたしのことをわたしから・15
病気になったからこそ,気付いたこと
鈴木 小百合
pp.142-143
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101011
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私は,多発性硬化症(MS)という病気です。日本では121疾患を数える難病の1つに指定され,近年,日本での患者数は,1万2000人と増加傾向にあります。それでもMSに関する一般の方々の認識は,いまだ低い病気です。
MSの病因は自己免疫疾患と考えられていますが,まだ完全に解明されていません。中枢神経系を構成する脳や脊髄の髄鞘という支持組織が破壊されるため,身体にうまく神経の伝達が行き届かず,なかには半身不随や,全盲になってしまう方もいらっしゃいます。多くの場合,再発と寛解をくり返しながら慢性的な臨床経過を呈し,一人として同じ症状,経過をたどることはありません。私の場合は,4年半ほど前,「最近,疲れやすいんだ。なんかフラフラして,まっすぐ立っていられないときもあるの」と,遠方に暮らす母に電話でよく話していたのが最初です。
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