連載 大牟田発! 地域の縁側で認知症ケア・7
運営するなかでの気づき
牧坂 秀敏
1
1地域福祉館「藤井さん家」
pp.866-869
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100932
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藤井さん家を利用する人
●地域に見守られて
日曜日,新聞を読んでいると,玄関のほうで物音がする。「あ,開いてた」と女性の声。ご近所のNさんが立っていた。NさんはFさんの昔の仕事相手だった人だ。彼女とはいつも顔を合わしても挨拶を交わすぐらいで,立ち入って話をするということはなかった。そのNさんがわざわざ朝早くから訪ねてこられたのにはわけがあるはずだ。何事だろうとお話をうかがった。
「知り合いの人で,今通っている施設のデイサービスには行きたくないといやがっている人がいてね。私も(そこに)入所している人を見舞いに行ったことがあるけど,人が多すぎるし,職員の対応もよくない。それよりも藤井さん家を利用したほうが彼には合っていると思うのよ。その人はかつて藤井さん宅にもよく出入りしていたから,藤井さん家は馴染みの場所でもあって。今日娘さんが来てるから,今から連絡してみるよ。あとでここに寄ってもらうように言うけど,あなたはいるかね」というわけだ。
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