連載 訪問看護師に必要な口腔ケアの知識・1【新連載】
まず,自分自身の口腔管理をしましょう
角 保徳
1
1国立長寿医療センター先端医療部口腔機能再建科
pp.582-584
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100853
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はじめに
ヴァージニア・ヘンダーソンは,その代表的な著書『看護の基本となるもの』に,「患者の口腔内の状態は看護ケアの質を最も良く表すもの」と書いています。古くから口腔ケアは看護の基本と考えられてきたことがわかります。
しかし食事,排泄,保清,入浴など多忙を極める在宅看護・介護サービスの中で,口腔管理はともすると忘れ去られているのではないかと思うことがあります。高齢者の特徴として,予備力がない,有病者が多いことに加えて,介護が必要な人が多いことが挙げられます。高齢者は身体の各器官にさまざまな支障を併発するため,それに付随してどの年齢層に比べてもその口腔清掃度は低く,残根,歯周炎,口腔乾燥,舌苔などの様相を呈しています。また,歯牙齲(う)蝕や歯周病による歯牙の喪失,長年の咀嚼・咬合による歯牙の摩耗,咀嚼筋の廃用萎縮などのため食物の摂取が困難になることがあり,看護師や介護者による口腔管理の必要性が示されてきています。
近年,口腔疾患や咀嚼機能の衰えは口腔内の問題にとどまらず,各種の内科疾患,老化,認知症など,身体全体の健康と密接に関連していることが明らかになってきました。口腔ケアが口腔局所疾患の予防のみならず,全身疾患の予防の観点から脚光を浴びつつあります。
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