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はじめに
少子高齢化の進展により疾病構造は変化し,入院期間の短縮化や医療機器の発達に伴って,在宅で高度な医療処置を必要とするケースが増加している。また,介護保険導入により在宅ケアサービスへの関心が高まり,多様なニーズを満たすために,より質の高い在宅ケア・在宅看護のあり方が問われている。このような社会的背景のなかで,現在,全国に5000か所以上(平成14年3月現在,5318か所)の訪問看護ステーション(以下,ステーションと略)が設置され,在宅ケアの拠点として訪問看護が展開されている。
本学は2001年に開校し,1期生(3年生)が今年度後期より各領域別の臨地実習を開始する。地域看護学領域では,地域看護学実習Ⅱ(1週間1単位,計45時間)において,ステーションでの臨地実習を実施する予定である。訪問看護の現場では,高齢者を中心としながらも,あらゆる年齢・疾患・健康レベルの人を対象とし,また生活者としての視点からとらえることが必要とされる。ステーションでその実際を学ぶことにより,総合的な看護観を養うことをめざし,限られた期間のなかではあるが,効果的な実習をしたいと考えている。
「効果的な実習」とは,まず,実習を受け入れるステーション,訪問看護利用者とその家族にとって,また学生にとっても,負担が最小限であることが前提となる。そして,ステーションでしか学ぶことのできない内容を明確にし,より質の高い実習を行なうことを意味する。そのためには何よりも実習場と教育機関とのコミュニケーションが重要である。そこで,筆者は実習を依頼している全ステーション(県内8か所)で実際に訪問看護に同行し,利用者に負担にならない範囲で看護実践にも参加し,ステーションの概要,実際の業務内容,利用者背景の特徴などを把握した。その結果を踏まえ,効果的な臨地実習を実現するための方法を検討したので報告する。
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