特集 ステーションを活性化させる管理者とは
ステーション経営にマーケティング的発想を
藤原 泰子
1
1済生会三田訪問看護ステーション
pp.553-556
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100701
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はじめに
わが国に訪問看護ステーション(以後,ステーションと記す)ができて10年以上が経過している。「新ゴールドプラン」により開設が促進されてきたステーション設立も,目標数の5000か所には到達したものの,「ゴールドプラン21」の目標9900か所にはまだまだ時間がかかりそうである。
むしろ,筆者は介護保険制度開始後のステーションの休止数が,徐々にではあるが増加していることに危惧を抱いている。病院内での勤務が多かった看護職が訪問看護事業所の責任者になり,事業を展開してきたが,介護保険制度開始後の「競争の原理」に適切な戦略が持てないためか,あるいは介護支援専門員を兼務している場合は,給付管理業務までもが追加された業務の多さに忙殺されているためなのか不明であるが,ステーションの数は伸び悩んでいるのが現状である。
筆者は,ステーションを開設して7年目,介護保険に翻弄された3年を経た今は,現状維持に必死になっている。介護保険開始により,居宅介護支援事業所を併設して経営的に安定感を持ったのも束の間,平成15年度の介護報酬改定で報酬の下がった「緊急時訪問看護加算」の影響が当ステーションでは大きい。医療依存度の高い利用者が多い当ステーションでは,この緊急時訪問看護加算の契約率が96%であり,経営的に安定し事業拡大を計画していた矢先の報酬引き下げの痛手は大きい。
本稿では,医療保険や介護保険制度改正に影響を受けながら健全な経営を求められているステーションの管理者が持つべき「マーケティング的発想なるもの」についてまとめてみたい。
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