連載 くせものキーワード 第25回
家族介護
和田 忠志
1,2
1あおぞら診療所
2保健・医療・福祉のキーワード研究会
pp.520-526
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100697
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日本は本格的な高齢社会に突入しつつある。介護を受ける者,介護する者ともに高齢化が著しく,介護を要する期間も長くなっている。かねてから,日本の社会に公的な介護援助が貧困なため「介護地獄」という言葉があった。つまり,本邦では,高齢者介護は基本的に家族の労力に依拠しているが,この言葉は,その家族労働の厳しさを表現したものである。
家族が介護することは,美しい日本の伝統のように語られることがあるが,介護地獄という言葉は,家族介護の重圧を表す言葉ということもできる。この事態は,高齢者に関しては,介護保険施行後,多少改善されたとはいえ,本質的解決には至っていない。さらには,若年障害者についてはまだ手がつけられていないといってよい。また,「家族」といってもさまざまな歴史的な背景の下に障害者本人と結びついており,画一的な概念で語ることはできない。
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