特集 サービス評価への取り組み
サービス評価に取り組んで―宮城県女川町での実践
佐藤 由理
1
1宮城県女川町役場健康福祉課
pp.109-117
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100621
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はじめに
宮城県女川町は県の北東部に位置し,2つの離島と半島部を抱える人口11529人,(平成14年9月末現在)の漁業の町である。本町の高齢者数は3106人(高齢化率26.9%),要支援・要介護認定者は322人(要介護者出現率10.4%)となっているが,本町に事業所のある介護保険サービス事業者は,表1のとおりで,介護保険サービスの種類こそ揃ってはいるものの,介護保険制度の特徴である「選べるサービス」を実現できるような状態にはないのが実情である。
介護保険制度の1つの特色としては,これまで「措置」として行なわれてきたサービスの提供が,サービスの売り手と買い手の間の自由意志に基づく「契約」によって行なわれることが挙げられる。長い間行政が一手に担っていた福祉サービスを民間に開放し,健全な競争原理のもとにサービスの質を保証しようという考えは画期的なものであるが,必ずしもすべての自治体でそれが可能になるわけではない。民間事業者の参入が期待できない状況では,たとえ質の低いサービスしか提供できない事業所であっても,住民に選択の余地はない。そのような問題点を具体的に解決する手段として,本町では住民の参加を得てサービス評価に取り組んだ。本稿ではその経過と今後の展望について紹介する。
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