特集 在宅高齢者の皮膚トラブルへの対応
「かゆみが消えた!」道ばたの万能薬・ヨモギ療法の実際―看護師の私がヨモギに魅せられた理由
金森 律子
1
1あさお訪問看護ステーション
pp.434-438
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100519
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はじめに
■私がヨモギを研究しはじめた理由
今から約20年前,私は聖マリアンナ医科大学病院の腎センターに勤務する看護師でした。当時,腎疾患で体内の老廃物をうまく排出できないため,血液透析をしている多くの患者さんが全身のかゆみに悩んでいました。血が出るほどひっかいて苦しんでいる患者さんを前に,「せめて出血だけでも止められないかしら」と考えていたある日,ふと思い出したのです。
「そういえば,幼い頃,転んでケガをした時,おばあさんが傷口にヨモギをあててくれた……」
早速ヨモギを摘んできてガーゼに包み,患者さんの皮膚をパッティングしてみると,やがて出血が止まりました。すると患者さんがこう言ったのです。
「なんだか,かゆみまでおさまったみたいだ」
これがすべての始まりでした。
ヨモギでかゆみがおさまる。この実践を1989年のある看護学会で発表したところ大きな反響を呼びました。そして,この効果を実証すべく研究を始めて10年後,ついにヨモギ抽出液「ヨモネオール(1998年3月,かゆみ止め剤として認可PAT2757188取得)」を開発しました。また,長年の夢であった訪問看護ステーションを立ち上げ,病院から地域にでてみると,腎不全,肝疾患だけではなく,老人性皮膚掻痒症,アトピー性皮膚炎,アレルギー体質の人など,かゆみに悩む人が予想以上に多いことがわかったのです。
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