連載 ドキュメント―介護アドバイザーが行く④
介護リーダーとの個人面談―介護リーダーとしての心構えと責任とはなにか
高口 光子
1
1介護アドバイザー、理学療法士
pp.298-302
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100503
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老人病院のリハビリ科科長,特別養護老人ホームの介護部長を経て,介護の変革を請け負う介護アドバイザーになった著者の活動日記風レポート。
派遣されて行く先々の老人ケア施設での試行錯誤的な活動を通じて,介護施設のケアシステム,介護従事者の教育・研修セミナー,介護者の意識の変革など,介護の現状を現場感覚でレポートします。
面接の必需品はティッシュペーパー!?
看護・介護部門のリーダーたちとの面接をセッティングする。応接室か,こぢんまりとした机とイスだけの部屋が用意される。私は,自分の荷物を適当な場所に置き,私と面接を受ける人の座席の位置を考える。お茶が運ばれるまで,ひとりでゴソゴソ気に入ったように机やイスの位置を変える。大抵は事務職の女性がノックと共に入室し,“あらあら”といった様子で一緒に配置を整えてくれる。
「すみません。ありがとうございます」
「いえいえ,何かご入用の物があれば,何でも言ってください」
「そうですか……,それではすみませんが,ティッシュペーパーを1箱,持ってきてもらえませんか」
「はぁ……お風邪ですか?」
「いえ,そうではないんですが……」
「わかりました。お持ちします」
ティッシュペーパーの箱だけの時もあるが,時々,あふれんばかりのレース飾りに包まれた箱や,犬や熊のヌイグルミの背中や口からペーパーを取り出すようなケースもある。部屋に運ばれたそれをしみじみながめている私をけげんそうにうかがいながら,「よろしくお願いします」と事務職員は退室される。
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