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はじめに
リハビリテーション(以下,「リハ」と略)は,脳卒中や外傷などに伴って起こる身体的機能や生活面での障害を回復・改善するとともに,心理的障害を克服し,たとえ障害があってもその人らしく社会参加できるように支援していくことを目的としている。
発症後,病態が未だ不安定で,増悪の可能性が存在する期間にリスク管理を行ないながら,2次障害としての廃用症候群を予防し,早期離床・日常生活活動(ADL)の自立を目指す「急性期リハ」と,病状が峠を越し,リスク管理の必要性が少なくなった時期に,残存する麻痺や体力低下などの身体的機能・能力の回復を図り,ADLの能動的訓練・生活の質(QOL)の向上,および自宅退院支援を目的として行なう「回復期リハ」,そして施設や自宅での実際の生活の中で機能・能力低下を予防し,ADLの自立,さらにはQOLの向上を目指して地域社会に参加できるように支援していく「維持期リハ」と3つのステージに分けられるが,大切なのは“的確な時期に適切なリハサービスが継続的に提供される”ことである。
つまり,急性期リハは急性期(救急)病院で,回復期リハは主に回復期リハ病棟で,さらに,維持期リハは施設における療養上のサービスとして,また在宅対象者には訪問や通所,あるいは短期入所などによる介護保険領域のサービスとして提供されることから,各ステージ間の連携がしっかりと確保され,スムーズなバトンタッチがなされていくことが必要となるのである。この意味で,回復期リハ病棟においては,急性期病院との密接な連携のもと,在宅生活を見据えたアプローチの工夫・努力が必要であるばかりでなく,地域(在宅支援チームおよび地域住民)との密接な連携構築が必要になる。そこで,本稿では当院の運営をふまえて回復期リハ病棟の現状を紹介するとともに,回復期リハ病棟における在宅への視点について述べることにする。
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