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はじめに
調布市医師会訪問看護ステーション(以下,当ステーション)は,近隣市に難病専門機関である病院があることから,病院や地域保健所を通じて難病患者への訪問依頼が多く,医療依存度の高い在宅療養者への訪問に数多く取り組んできた実績がある。特に地域保健所との関係は強く,患者についての初期情報の提供や,退院の調整,家族への指導,在宅への移行時・移行後の連携など,ステーションにとって共に在宅療養を支援する立場として保健所との連携は欠かせないものがある。
当ステーションが訪問看護を提供していた難病患者は,2005(平成17)年の時点では16名(利用者全体の10.9%),そのうちALS患者は9名であった。また,人工呼吸器装着中(バイパップを含む)の患者は6名,気管切開患者は2名であり,その主な介護者は配偶者であった。家族の介護負担は常に問題となっており,多くは1か月程度の病院入院という形で負担の軽減が図られていたが,年に1~2回程度が限度であった。
難病患者の在宅療養を支援していく中で,当ステーションは,以前から日中滞在型の長時間訪問看護(延長2~3時間程度)をオプション(延長30分につき1000円)として提供し,家族の外出や病院受診,休養などを支援してきた。多いケースで年20回程度,少ないケースで年4~10回程度の長時間訪問看護を提供している。長時間訪問看護を提供するすべての患者が吸引行為を必要としており,人工呼吸器の装着患者も多く,看護師が滞在することで患者も安心して家族の長時間の外出の間を過ごすことができていた。
こうした経緯から,2005年の日本看護協会の「ALS患者等の24時間看護提供モデル事業」に参加することとなり,日中の長時間訪問看護による在宅レスパイトを計画的に行なうことで,患者や家族の療養生活を支援するという取り組みを開始した。ここではモデル事業(同年4月1日から12月1日までの8か月間)の経験を中心に,今後に向けた課題も含めて報告したい。
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