特集 長時間滞在型訪問看護の可能性
難病患者の長時間滞在型訪問看護の効果と課題―保健所の難病患者地域ネットワーク事業を活用して
永井 雅子
1
,
岡部 明子
2
1神奈川県秦野保健福祉事務所
2東海大学健康科学部看護学科
pp.96-101
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100384
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はじめに
「何とかしなければ」と痛感した出会い
筆者が保健所の難病担当保健師として赴任し,あるALSの療養者宅に初回訪問をしたときのことである。人工呼吸器装着,気管切開に伴う吸引のため,介護者は極度のストレスと拘束感を訴えていた。そして療養者自身は,人生をあきらめ,「殺して」というメッセージを伝えてきた。医療従事者として何とかしなければと痛感した出会いであった。
そこで,医療依存度の高い難病患者の在宅療養を支えるサービスとして,療養者のQOLの向上や介護者のレスパイトを目的とした新たな訪問看護サービスの展開をめざすこととなった。既存の難病事業を活用して,訪問看護事業所との協働により,モデル的に長時間滞在型の訪問看護事業を展開したのである。この経験を報告することで,より多くの地域でニーズに対応した支援が事業化されるきっかけになればと願い,事業の経過と効果について報告する。
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