特集 在宅からみた地域連携とパス
在宅への移行を促す医療制度改革の方向性―病院と地域をつなぐ訪問看護に
古橋 美智子
1
,
滝 麻衣
2
,
小谷 幸
2
1日本看護協会
2日本看護協会政策企画部
pp.1008-1016
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100246
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はじめに
日本の医療制度改革の方向性は,患者や国民にとって安心・安全であることに加え,保健・医療・福祉にわたるシームレスな(切れ目のない)提供体制の実現に向けられています。そしてこれは,希望する患者すべてに医療施設から在宅への移行を促す動きであるといっても過言ではありません。
「いつでも,どこでも,だれでも」安心で安全な医療・看護が受けられることこそ,めざされるべきことです。しかし,一方では円滑な連携が十分に行なわれないことによって,病院・在宅間の「溝」に落ちてしまう患者も少なくありません。その結果,医療機関をたらい回しにされたり,適切なタイミングで退院ができなかったりと,患者・家族が望む医療の実現を阻むことになりかねません。
このような「溝」を作らないためには,①病院と地域をつなぐ地域連携パスの作成,②病院・施設側では退院支援部門の設置および退院支援を担うコーディネーターの配置,③地域の側では訪問看護ステーションの充実・強化,④医師,看護師,ケースワーカー,理学療法士などによるチームケアの整備,が重要な鍵であると考えます。
そこで本稿では,2006(平成18)年の医療制度改革に向けて医療提供体制のあり方を審議している厚生労働省「社会保障審議会医療部会」(座長=鴨下重彦氏,以下医療部会)と,医療提供体制の焦点である医療計画の見直しを検討している「医療計画の見直し等に関する検討会」(座長=黒川清氏)に,古橋が委員として参加している立場から,在宅への移行を促す制度改革の方向性について示したいと思います。
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