特集 「痰の吸引」を考える
[座談会]痰の自動吸引装置の実用化に向けて
山本 真
1
,
徳永 修一
2
,
川口 有美子
3,4,5
1大分協和病院
2徳永装器研究所
3NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会
4日本ALS協会
5(有)ケアサポートモモ訪問介護派遣事業所
pp.732-740
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100200
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今年5月,「痰の自動吸引器」が,大分県の医師山本真さん(大分協和病院)とエンジニアの徳永修一さん(徳永装器研究所)を中心に開発され,実用化に向けて大きく動き出しました。山本さんらは,気管切開を受けて人工呼吸器装着中のALS患者さんのために,1999年から研究を開始。実験と臨床試験を経て数度のモデルチェンジを加え,今回の完成に至ったとのこと。新しい装置の臨床試験の結果は,7名中5名で「きわめて有効」,2名に「有効」,副障害はゼロというものでした。ここに至るまでの過程や思いについて,川口有美子さんがお2人の話を聞きました。
呼吸器内科医からALSの医療に
川口 今日は山本先生の往診に同行させていただき,11件のお宅に行ってきました。印象的だったのは,1人の患者さんが「呼吸器をつけて楽になった」と言っておられたこと。ともすると患者さんは,「呼吸器なんか着いちゃって」「恐くてしょうがない」などと,人工呼吸器に対して最初からネガティブに話すことがありますが,まったくそういう感じはなかったですね。私の母もALS患者で,東京で在宅介護を始めて10年になりますが,ここは山本先生がいるから安心だと思いました。
山本 それは,患者会やボランティアの人たちの活動の成果だと思います。大分では人工呼吸器を装着することが普通になっているので,自分も家族も「つけるか,つけないか」とあまり悩まずに済むわけです。
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