特別記事
高齢者の誤嚥による死亡事故を防ぐために―裁判事例からの検証
清水 昭美
pp.142-149
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100087
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はじめに
1995(平成7)年,特別養護老人ホーム(ショートステイ)のR苑事件が起き,1997(平成9)年,老人保健施設Y園事件が起きた。これらは入所中の老人が食物を誤嚥し,死亡した事件である。いずれも,遺族が損害賠償を求め,裁判となった。R苑事件では,施設職員が適切な処置を怠ったため起きた事故で施設側に過失があるとし,遺族への損害賠償の支払いを命じた1)。Y園事件では,施設側に過失はなかったとして遺族の損害賠償請求を棄却した6)。2つの事件とも控訴審で和解が成立した。
いずれも施設入所中の事件であり,在宅での事件ではないが,老人を対象とした看護,介護事件であるので,老人の誤嚥を防止する上から,また,事故発生時,どのような救命救急処置が求められるのか,さらに日頃からどんな教育,訓練,連携が必要かを考察し,同様の事故防止に役立てたい。
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