連載 続・白衣のポケット・9
八つ当たり
志水 夕里
pp.720
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902342
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人は一人では生きてゆけない。趣味が同じ,経験が似ている,価値観が近いことに安心し,心を開く。科学でさえ,類似性の収集と分析は大切なことだ。患者は,同じ手術をした人の話を聞きに行く。人は,似ているものを求めて奔走する。
患う者は,孤独である。同じ痛みをもつ者はいないからである。自分一人の痛みを,自分一人で背負って生きるしかない。せめて,親身になってくれる人がいたなら……。親身なふりでも見せて欲しいと,豪気な人ですら,ちょっとは思っているはず。まして,突然,死の可能性さえ含んだ告知を受けたなら,そのショックも計り知れないだろう。だから,ナースとしても,受容的に関わろう,そう思っているのだが。
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