連載 変革期における看護の人的資源計画・2
看護職員需給計画は何を達成したのか
楠本 万里子
1
1日本看護協会中央ナースセンター管理・業務部
pp.146-153
発行日 2001年2月10日
Published Date 2001/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902324
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はじめに
わが国において,看護婦不足は長い間,厚生行政の大きな課題の1つであった。戦後のどの時期も看護婦が充足したことはなく,その時代の社会情勢や保健・医療・福祉ニーズの動向を踏まえて,数度にわたり看護職員の需給計画が策定され,計画達成のための諸施策が実施されてきた。需給計画は,看護職員確保対策における羅針盤のような役割を果たしているものと言えよう。
1991年12月,20世紀最後,かつ最大の需給計画である「看護職員需給見通し(以下,需給見通し)」が策定された。この翌年には「看護婦等の人材確保法」及び基本指針が策定され,まずは需給見通しの目標達成に向け,国を挙げての基盤整備や種々の対策が推進されてきた。需給見通しは,早期から計画を上回る順調な確保状況を示しつつ推移し,結果的には当初の確保目標を超え,21世紀には看護職員の供給過剰,すなわち,大量就職難時代が到来するかもしれないという予測すらも出されている1,2)。
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