特集 安全管理の視点から看護業務を見直す
看護業務に潜むリスクを洗い出す―リスクアセスメントによる実践的な業務改善
福留 はるみ
1
1聖母女子短期大学
pp.578-582
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902134
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一歩先ゆく安全管理
今,医療現場では日々多くのインシデント事例が報告され,不定期であるが確実にアクシデント事例が発生している。これまでの安全管理の手法では,ヒヤリハット事例等,すでに生じた出来事を教訓として防止策を講じることが多かった。だが,収集した事例の数量的な分析はできても,その結果を現場にどう活かすのかという壁にぶつかっている看護管理者やリスクマネジャーは少なくないだろう。さらに,アクシデント事例の原因の根本的な分析と,再発防止のための対応策を実施すると同時に,インシデントを未然に防ぐことも急務である。
本稿で紹介する「リスクアセスメント」は,インシデント・アクシデントの発生を待たずに,医療現場に潜在しているリスクを洗い出して対応策を講じる,一歩先をゆく安全管理の手法である。看護は,「人」を介して行なわれるので,ヒューマンエラーをなくすことはできないが,ヒューマンエラーが発生しても事故につながらないような,環境整備,防護策を取り入れた予防的な安全管理を推進することは重要である。
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