特集 「ヒヤリ・ハット」報告を看護事故防止に役立てる—方法とその考え方
第6章 看護業務からみた事故とそのリスク
pp.1112-1115
発行日 1999年12月1日
Published Date 1999/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905985
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事故防止はまずリスクの認識から
人は前もって,事故が起きるかもしれないということ(リスク)とその事故が起きやすい状況(危険要因)を知ってさえいれば,起きないように対応します.たとえば,道に段差があるとわかっていれば,足を踏みはずさないように注意します.あるいは,脇道の向こうに幼稚園があると知っていれば,車のスピードを落として通過します.あるいは,試験に厳しい先生だと知ったら,授業を休まないようにします.つまり,リスクに関する情報を得ることが,事故予防の第1歩です.
一方,事故予防はリスクを察知する能力にも影響されます.たとえば,ベテランのタクシードライバーは,豊富な経験から培ったリスク感性により,その走りの中に緩急を織り交ぜています.また,個人の性格特性としての不安の強さによって,リスクを察知する能力も異なります.たとえば,ビルの工事現場の横を通る時,上から何か落ちてくるかもしれないと不安を強く感じる人と,危ないなと普通に感じる人,まったく何も感じない平気な人がいます.避けてそこを通らない人,足早にそこを通り過ぎる人がいる反面,平気な人はボーと立っているかもしれません.
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