連載 看護管理者の眼・10
社会にお返しする年代
田中 由紀子
1
1横浜市民病院看護部
pp.853
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902020
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看護系の教育が大学教育に移行しつつあります。私の母校も,昨年専門学校から看護大学になりました。その式典が,サミット会場とよばれるすばらしい場所に歴代の卒業生が集まり,卒業年度ごとにテーブルを囲んで開催されました。私たちのテーブルは,勤務の都合で出席予定の半数しか出席していませんでした。夜は,学年ごとのクラス会となり,昼間来られなかった人も全員集まり,夜を徹しての情報交換の場となりました。そのなかで,昼間のテーブルの件が話題になり,欠席した友人の1人が「私たち50歳を過ぎたら,社会にお返しをする年代よね。今回の会は会場費だけでも大変なので会費を余分に納めたの」と言ったのですが,その「社会にお返しをする年代」という言葉がとても新鮮で,さわやかに私の心に残っています。
看護管理者は,いつも課題を追いかけ,不足のものを満たしていくように走り続けています。不足の水瓶の水位を査定し,それを満たしていく仕事の繰り返しです。でも,ときには立ち止まり,満たされた水瓶として何を持っているかを点検してみることも必要でしょう。満たされた水瓶にするためには,いろいろな方にお世話になったり,アイデアをいただいたりしています。しかし,いったん水瓶が満たされてしまうと,他人から支援を受けたことも忘れてしまいがちになるのではないでしょうか。社会へのお返しとは言わないまでも,役に立つ部署へのお返しが必要でしょう。このような発想を求められるのが看護管理者です。
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