連載 町看護婦から医療を見ると・8
患者と医療者のズレ
新田 幸代
1
1新田クリニック
pp.687
発行日 2000年8月10日
Published Date 2000/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902007
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親しい友人から「母が胃ガンと診断されて,手術することになった」と電話がありました。友人は「母は,ガンとは言われていないけれど『胃から出血している』と医師から説明されて,手術については納得したみたい。でも,母は自分の父親や兄弟をガンで亡くしていて,以前から『自分もガンに罹るのではないか』と,とても心配していたの。実際こんなことになって,母も私たち家族も『ガン』という言葉を口に出来なくなって,まるで腫れ物にさわるようなの」と困惑していました。
それを聞いた私は,胃ガンや手術について看護婦として説明し,「患者さんと家族はお互いに気を使いあうがゆえに苦しんだり,患者さんが孤独を感じてしまうことがあるから,担当の医師や看護婦がよくサボートしてくれるといいんだけど……」と話しました。
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