特集 老人看護—自立への受けとめ方のズレ
患者と看護婦の認識のズレを埋める試みを通して
小林 千恵子
1
1大阪府立成人病センター内科病棟
pp.1247-1250
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919994
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はじめに
脳卒中の患者は,発症の直後から適切な医療を受けることができた場合でも,片麻痺その他の後遺症を残し,多くの問題を抱えての生活を余儀なくされる.脳卒中の急性期には,救命を目的とした看護が必要であり,病状が安定すれば,早期から身体の機能面,生活行動の自立のために積棚的なリハビリテーションが重要である.患者が高齢者である場合,慢性的に続く心身の障害を克服して自立してゆくことは容易なことではない.
看護者は患者の病前の性格,社会的背景,生活の習慣,発症後の経過を充分に把握するとともに,患者が自己の心身の状態をどのように認識し,回復と自立への取り組みをしようとしているのかを理解する努力をしなければならないのは当然である,そしてその中から,患者の持っている問題と看護者がとらえている問題との問にあるズレを見い出して,適切な援助をしてゆくことができれば,患者自身も健康の回復と社会復帰を目指して自立への歩みができるのではないだろうかと考える.身体的条件の悪化を来し回復期に意欲の低下をみた高齢の脳梗塞患者の看護の経過を報告し,援助する者とされる者との具体的な認識のズレを考えたい.
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