特別記事
社会的文脈からみた看護と管理戦略
中西 睦子
1
1日本赤十字看護大学
pp.202-213
発行日 1991年7月15日
Published Date 1991/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901825
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はじめに
看護の仕事が1つのシステムとして少しずつ社会の目にさらされ,その不思議な姿が浮き彫りになるにつれて,いろいろなことがわかりはじめている.力があるようで力がない.何でもできるようで,何もできない.守られているようで,守られていない.山ほど仕事をするようで,結局,何をやっているのかわからない.ずいぶん重い責任を負っているようで,実は何に責任を負っているのかわからない.看護職をみても,誇りは人一倍あるのに,自信は人一倍乏しい,等々である.
ところで看護職はもうずいぶんたくさん学んでいる.看護管理についても同様で,さまざまな管理モデルや理論,リーダーシップ論,グループダイナミクス等々,およそ医師らに比べ実践的な知識の集積ぶりは大きい.なのになぜか,そういうものが身につかない.知識が状況を変える力にならない.あいまい,混沌,繁忙,疎外の状況はいつまでたっても変わらない.それにはたぶん大きな理由がある.
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