連載 チーム医療の現場から医療制度を考える・4
「安かろう悪かろう」あきらめが肝心!?
本田 宏
1
1埼玉県済生会栗橋病院・外科
pp.317-319
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901618
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不況と個室料の関係
ある晩,救急外来に呼吸困難を主訴に70代の男性が訪れた。レントゲン検査で,気胸と診断され,当直医師との間でこんなやり取りがあった。「肺に穴が開いているので,入院治療が必要です。ただ今晩は個室しか空いていないのですが」,すると「個室料金を払うのはいやだよ,大部屋がいい。儲かって,こんなに、立派な建物を建てているのに,個室料金をとるのかい」とこられた。仕方なく,当直医が「あいにく大部屋が空いていませんから,ご自宅の近くの○○病院を紹介してもいいですよ」と答えると,「あそこは汚くていやだ,ここがいい」の一点張り。それほどお金に困っているようにも見えなかったが,結局個室料金なしで入院治療となった。
当院は県のアメニティ資金を借りて,2000年7月に新棟を完成した。新棟は1人当たりの面積が10m2,廊下の幅も3mと広々としており,今までの日本の病院のイメージからは想像もできないほどの造りになっている。大部屋でも4人部屋で,隣の患者さんがそれほど気にならない。新棟50床のうち,大部屋は34床で1日500円,個室は16室で3500円から特室の2万円までの設定だ。
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