特集 顧客満足が変える・支える医療と看護
老舗旅館のCS戦略―医療サービスへの示唆として
神前 裕
2
,
渡辺 加奈子
1
,
和田 ちひろ
3
1北里大学病院看護部
2あえの風
3HCRM (ヘルスケア・リレーションシップ・マーケティング)研究会
pp.859-863
発行日 2001年11月10日
Published Date 2001/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901328
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千客万来から一客再来へ「個客」の時代へ
加賀屋創業の精神
加賀屋は,1906(明治39)年に創業し,1958(昭和33)年には,昭和天皇,皇后両陛下にご定泊いただいたことにより,全国的に名前が知られるようになりました(表1)。創業の精神は,「笑顔で気働き」というものであり,今もなおその精神は脈々と引き継がれています。
現在は,社員が常に「加賀屋品質カード」を所持し,「お客様の期待に応える・正確性を追求する・おもてなしの心で接する・クレーム0をめざす」といった品質方針を実践しています。例えば,「できません」「ありません」は絶対に言わないようにしています。もちろん,できないこともありますが,「できません」と言うと,そこでサービスは終わってしまいます。ですから,「それはできませんが,こういうことならできます」と,代替案をお客さまに提案するように心がけています。正確性の追求も重視しています。万一,モーニングコールの時間を間違えると,お客さまが大切な商談に間に合わないということも起こり得ますから。また,「すぐ擦れるように,マッチを1本箱から出しておく」ということも,加賀屋の「おもてなしの心」を端的に表わしていると思います。
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