連載 シネ・プロフィル・10
手術室のゲーブル
片場 嘉明
1
1厚生中央病院・外科
pp.737
発行日 2001年10月10日
Published Date 2001/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901305
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中国太原市での小学生時代。やっと空爆が去り,下校する生徒の列に,泣き叫びながら近付いてくる一団があった。走り寄った私は,戸板やもっこに乗せられた血まみれの男女を目の当たりにして,立ちすくんだ。空襲で負傷した現地の人たちが運ばれる途中であった。だが,そのあと一体どうされるのか,当時は,皆目見当もつかなかった。
それから,6年後,平和になった日本で,映画少年は,クラーク・ゲーブルの手術衣姿の写真に見とれていた。その映画は「帰郷」であった。ゲーブル扮する外科部長は,腕は立つが,利己的な面もあり,軍医少佐として志願した理由も,多分に出世主義が絡んでいた。
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