特集 病院の汚染防止
特殊施設の汚染防止
手術室
三浦 哲夫
1
1北海道大学附属病院・手術部
pp.376-378
発行日 1978年5月1日
Published Date 1978/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206527
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病原性微生物のいない,または非常に少ない手術室で外科手術を行うことは,われわれ外科医の夢であり,そのためにわれわれの先人が,苦労を重ねて努力をしてきたのである.Pasteur, L.(1861)は,発酵,化膿と微生物との関係を実験的に証明し,Lister, J.(1865)は制腐法を確立して近代外科学の基礎を作り,その後Schimmel—busch,C.(1885),Fürbringer, P.(1887)など,数多くの先人が滅菌,消毒の研究で,努力を払って今日に到っている.またFlemming, A.(1928)のペニシリン発見以来,多数にわたる抗生物質の開発の歴史があるが,依然として数パーセントの手術後感染率をみている現況である.
このことは病院環境が他の一般環境と著しく違う点,すなわち感染に対する抵抗力の弱いものが多いこと,各種抗生物質に高度多剤耐性の細菌のいること,医療従事者に保菌者のパーセンテイジが高いことなどから,その問題をさらに複雑にしている.
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