連載 環境?!・19
やさしい窓辺
筧 淳夫
1
1国立医療・病院管理研究所 施設計画研究部
pp.519
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901232
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「部屋は南向きがよい!」これは誰もが疑いを持たずに信じている常識である。日本では住宅を選ぶときに,日当たりを気にして南向きかどうかを確認する。しかし,それと同じように病室の向きを決めてもよいのだろうか。
南向きの病室は,太陽の直射日光が厳しいために,病室内の室温や明るさを均質にするのが難しい。住宅であれば,屋内を移動しながら,さまざまな居場所を選ぶことができるが,病院ではそうもいかない。病室内の窓から1m以内の場所に一日中寝ていることもありうる。ひどい場合には,患者が直射日光を浴びながら寝ていることもあり,さらには,それを防ぐためにカーテンを閉じて室内を暗くしている様子も時々見受けられる。それに,窓の外の景色も逆光で見ることになるので,決して美しくはない。北向きの病室であれば,南向きの病室よりも室温や照度を人工的に整えて快適な寝室にしやすいし,外の景色は順光になるために,はっきり見ることができるのだが.……。
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