連載 環境?!・18
子どもが遊ぶ"自然"あふれる中庭
筧 淳夫
1
1国立医療・病院管理研究所 施設環境評価研究室
pp.435
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901214
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患者をはじめとする一般人にとって,「暗い」「冷たい」「痛い」といった病院の"陰"のイメージは,最近薄らいだとはいえ,いまだに拭いきれないものではないだろうか。病人を対象とする病院は,どうしても"死"のイメージから逃れることができない。それに拍車をかけているのが病院のデザインでもある。近年では,さまざまな色調を利用するようにはなってきたが,それでも白を基調とした色彩や,医療器材などもステンレスをそのまま見せるために,冷たく,寒々しい雰囲気を与えてしまっている。また,ひとたび入院すると,人工的な環境の中での生活が中心となってしまうために,太陽が昇って沈むまでの日の光の変化,晴れたり雨が降ったりといった天候の変化,風の流れといった自然の変化を感じることが難しくなってしまう。
写真の病院は,パリ市内にある小児専門病院である。病院の中軸となる通路の一角にガラスで囲われた人工的な庭が造られている。人工的といっても,土が盛られてかなり大きな樹木が植えられており,またフィールドアスレチックに利用できるような丸太組の遊具も羅かれている。外米に通ってきた子どもや,親が入院患者の見舞いに来たときに一緒に病棟に入れないような子どもたちが,遊び回ることができるし,もちろん入院している子どもも利用することができる。
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