特集 予防接種
予防接種事故と法的責任
高田 利広
pp.618-623
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205263
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予防接種事故と予防接種過誤
―補償と賠償と刑罰―
予防接種事故が起こると,実施者側について刑事責任(刑罰)とか,民事責任(損害賠償)とかいった法的責任が問題にされる.刑事責任は業務上過失致死傷罪(刑法211条)の問題であり,民事責任は不法行為(民法709条,国家賠償法1条)の問題である.
ところで,現行法制は「過失なければ責任なし」という過失責任主義をとっているので,予防接種事故がすべて直接このような法的責任の対象となるものではない.偶発事故,不可抗力事故については法的責任は問題にされない.法的責任が負わされる予防接種事故は,予防接種過誤の場合である.すなわち,過失ある予防接種事故が起こったときに,過失を犯した予防接種実施者,たとえば医師とか保健婦とか看護婦,あるいは予防接種実施主体者,たとえば国とか市町村とか,これら加害者側について問題にされるのである.
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