懸賞受賞論文「私たちの安全・安楽の工夫」
―佳作―新生児・乳児の麻酔導入における乳首付きマスクの考案
横山 幸代
1
,
大前 雅子
1
1国立療養所香川小児病院手術室
pp.801-803
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900422
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工夫の動機
当院手術室では,年間約180例の新生児,乳児の手術を行なっている.新生児,乳児には緊急を要する先天性疾患が多く,手術室搬入時に環境の変化や絶飲食による空腹などから,激しい啼泣が見られることが多い.そのため分泌物が多くなり,換気がスムーズにできず,麻酔導入を行ないにくいなどの問題があった.日沼1)は,「泣いている小児をそのまま麻酔導入すると,過呼吸状態で,必要以上に急速に麻酔ガスを吸い込むことになる」と述べている.
従来当院手術室では,このような患児には,マスクと口の間に指を入れ,患児に吸啜させることで,啼泣や体動を緩和しながら,麻酔導入を行なってきた.しかし,この方法では,口とマスクの間から麻酔ガスが漏れたり,麻酔医の指を口の中に入れて吸啜させるため,清潔面に問題があった.
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