連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・209
6歳の黒人少女が保安官に守られて入学!
柳田 邦男
pp.350-351
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686202641
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先のアジア太平洋戦争が終わった時,私は小学校の3年生だった。だから,小学校高学年から中学生にかけては,アメリカの占領政策として,日本を全体主義・国家主義の国家から民主主義国家に変えるための基盤づくりとして,民主主義についての教育に力が入れられた。それはそれで歴史的に大きな意味があったのだが,大きな誤りがあったのは,アメリカという国柄について,理想的な民主主義国家であるかのようなイメージを,日本人の特に若い世代の心に植えつけたことだった。
では,現実の戦後アメリカ社会はどうだったかというと,女性への差別,人種差別が激しかったのだ。特に人種差別は厳しく,ビル内のトイレには,「WHITE」と「COLORED」の表示が掲げられていて,白人用トイレと有色人種用トイレが別になっているほどだった。後で詳しく書くが,1950年代までは,白人の子どもたちが通う小学校に黒人の子が入ることはできなかった。
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