実践報告
看護現場に多面的効果を期待できるF-SOAIPとその実践—ICT化や多職種連携における看護実践の可視化をイノベーション
嶌末 憲子
1
,
小嶋 章吾
2
,
小野 幸代
3
,
松田 和也
3
1埼玉県立大学保健医療福祉学部
2国際医療福祉大学医療福祉学部
3社会医療法人敬和会介護老人保健施設大分豊寿苑
pp.932-938
発行日 2021年10月10日
Published Date 2021/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201991
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はじめに
地域医療における病院機能分化や医療費逼迫のもとで,DX(デジタルトランスフォーメーション)時代を前提とした診療報酬のあり方や地域連携の効率化は待ったなしの状況にある。またウィズコロナ,さらにアフターコロナの時代にあって,医療現場の最前線で働く看護職へのサポートや,柔軟な組織づくりと人材育成,メンタルヘルスが喫緊の課題となっている。
このような医療や看護の現状と課題と看護記録のあり方は密接に関連しており,看護記録の効率化と効果的活用により,PDCAサイクルに沿って連鎖的に効果がもたらされる。
介護においては,厚生労働省による2年間にわたる介護記録法標準化に関する調査研究事業を経て,2021年3月,医療・福祉の経過記録として共用できるF-SOAIP(エフソ・アイピー)が,介護記録標準化の候補として紹介されるに至った1)。
2021年4月より稼働しているLIFE(Long-term care Information system For Evidence:科学的介護情報システム)との関連でF-SOAIPが推奨されている2)。
一方,看護記録に関しては,電子カルテの普及とともにSOAP等の項目形式の経過記録法が定着しているとはいえ,標準化には至っていない。前出の介護記録法標準化の急速な進展は,看護記録のあり方への示唆ともなるだろう。
すでに,看護職ベースの介護支援専門員や,施設長,福祉現場で働く看護職がF-SOAIP研修の講師を担い,導入効果に確かな手応えを得ている(表1)。本稿では,F-SOAIPの概要と看護現場における活用について述べる。
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