特集 がん患者の療養の場の移行支援 ~アセスメント&社会資源の活用例~
実践編②私たちはこんなふうに療養の場の移行支援をしています
多職種連携における情報共有ツールとしてICTを活用した例
鈴木 晶子
1
,
奥山 慎一郎
2
Masako SUZUKI
1
,
Shinichiro OKUYAMA
2
1訪問診療クリニックやまがた/緩和ケア認定看護師
2訪問診療クリニックやまがた緩和ケア科
pp.643-646
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_643
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はじめに
医療の高度化や地域包括ケアシステムが進み,医療・介護に携わるさまざまな職種と協働する機会が増えている.携わる職種ごとに価値観もさまざまであり,医療・介護を受ける患者のために最善を尽くすことを共通の価値として行動しているが,それぞれの職種によって,問題のとらえ方や優先する方針は異なることも多くある.
在宅においても,医療・介護を受ける患者・家族背景が複雑(高齢独居,老老介護,身寄りなしなど)になってきており,患者・家族の個別性をふまえなければならなくなっている.医療度の高い患者への訪問も増え,病院と異なり医療リソースや時間的制約も多い中で患者・家族が望む場所でその人らしい生活を支援していくため,多職種の連携がこれまで以上に必要かつ重要となってきている.
現在,医療現場では紙カルテから電子カルテへの移行も進み,患者情報はパソコンやスマートフォン,タブレットを用いて管理できるようになっている.このため,患者の治療方針,病状説明の共有,バイタルサインなどの経時的な変化や検査結果の確認に施設内のICT (information and communication technology)ツールを利用することは,在宅医療現場においても多職種連携の質の向上に有用だと実感している.
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