連載 グローバル時代の医療英会話Lesson 外来や病棟で出会う外国人をサポートするために・4
What kind of pain do you have?
ウイリアムソン 彰子
1
1神戸大学医学部附属病院 看護部
pp.444-447
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201865
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痛みの科学と文化
生理学者のメルザックとウォールは,「痛みは個人個人で異なり,育った社会の文化的伝統によっても相違する」1)としています。痛みの実験的研究によっても,人間としての感覚閾値に民族的な差は認められないが,知覚閾値には民族差があり,痛みの許容閾値は民族差が顕著であるとしています。痛みを感じている人がその「痛み」にどのような意味付けをするのか,そしてそれをどのように他者に伝えるのか,ということは社会的文化的な影響が大きいとしています。
日本では,転んで泣いている子どもに「男の子なんだから泣いちゃダメ」と言い聞かせたり,陣痛は母親になるための試練だとして痛みに耐えることを強いたりする文化があるように思います。男の子も女の子も転んだ時の痛みは同じはずです。米国では無痛分娩が主流ですし,韓国では選択的帝王切開が認められています。私たち日本人の「痛みを耐える」という文化から,異文化の人達の「痛み」に対する配慮が欠如していないかを意識する必要があります。
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