特集 レジリエンス・エンジニアリング 「失敗事例」から「うまくいっていること」に着目するポジティブなこれからの医療安全
【コラム2】RRSの導入において,レジリエンス・エンジニアリングの視点を取り入れた事例
川口 なぎさ
1
1独立行政法人大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター看護部
pp.1022
発行日 2019年11月10日
Published Date 2019/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201435
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院内迅速対応システム(Rapid Response System:RRS)とは,患者が心肺停止に至る前兆段階で専門チームが介入し心肺停止を防ぐシステムです。大阪市立総合医療センター(以下,当院)は病床数1063床,58診療科を有した急性期病院です。2018年度は,平均在院日数10.5日,病床稼働率83.4%,1日平均外来患者数1833人でした。RRSは2012年6月から試験的に運用開始,2013年に成人患者を対象に院内全体に導入しました。2017年4月からは小児患者も対象となりました。
心停止に至る徴候を見分けるツールとしてバイタルサイン6項目に看護師の感じた「何か変」を加えた計7項目からなる「RRS起動基準」があり,どれか一項目でも該当すれば専門チームであるRRT(Rapid Response Team)にコールをすることになっています。RRSの起動には,まずは直接的な患者ケアを担う看護師が気づき,行動することが重要です。そのため,当院では病棟看護師の「気づき」の研修や,OJT(On the Job Training)を目的としたプロアクティブ(積極的)な病棟ラウンドを行ってきました。
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