連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・15
環境は自分を育てる大地であり,成果がモチベーションを高め,インセンティブとなる
市川 幾恵
1,2
1昭和大学
2看護キャリア開発・研究センター
pp.623
発行日 2018年7月10日
Published Date 2018/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201027
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昇任理由よりその後の過ごし方
母校の附属病院で,9年の病棟経験を経て専従の教育担当となり12年目に師長の辞令を受けた。人事は個人の希望通りにはいかない。筆者もその典型である。小児病棟の主任として楽しく充実していた時期に新任の看護部長が新設した教育担当師長に任命された。その理由が他の師長たちの固辞であると後に知った。当時は1980年代後半で,教育専従者のロールモデルがなく,職員の戸惑いは専門看護師や認定看護師が導入された2000年頃に近いと思われる。院内教育に関する受講歴や教育背景などが不十分で周囲に迷惑を掛けたであろうが,本人は無謀にも前向きで楽観的だった。
教育担当師長としての17年間は,「やってみよう精神」で教育から人事・業務管理,組織運営など目の前の課題に取り組んだ。自身の不足は,貪欲に外部の学習機会を活用して身に付けた。学んだことを実践で構築していく醍醐味は,振り返れば素晴らしい体験だったが,いつも自信を持って進めたわけではない。絶えず不安や自信の喪失,組織体制への不満感も抱えていた。だが,気づくと個人の能力不足や組織の力不足への挑戦が仕事のモチベーションになっていた。
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