連載 ほんとの出会い・33
宇宙と大地と宮沢賢治
岡田 真紀
pp.1056
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101223
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東京オペラシティの近江楽堂で素敵な音楽会があった。近江楽堂は私が好きな小さなホール。礼拝堂を思わせるアーチ型の天井があり,聖母像がたたずみ,演奏者と同じ平場に120ほどの客席が並ぶ。そこにいるだけで心が落ち着く空間である。
音楽会があったのは9月21日,宮沢賢治の命日だった。この欄でも一度紹介したことがある“歌唄い”,川口京子さんがリードオルガンの伴奏で宮沢賢治ゆかりの歌を歌った。そのオルガンは盛岡郊外の骨董店に何年もたなざらしになっていたのが修復されてよみがえった英国製のもの。前回の音楽会では「しゃぼん玉」や「赤い靴」など懐かしい童謡の一語一語の奥深さに聴き入ったのだが,今回は宗教性とでもいうのか川口さんの別の魅力を感じた。
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