連載 看護事故の舞台裏・5
残量ゼロの酸素ボンベ
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス医療本部
pp.492-495
発行日 2014年5月10日
Published Date 2014/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686103084
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呼吸状態の思わしくない患者さんにとって,酸素の供給は必要不可欠な医療処置です。入院病棟のベッドサイドにはたいてい中央配管の酸素が備え付けられていますので,指先につけたパルスオキシメーターの経皮酸素飽和度(SpO2)が80%台に低下して呼吸不全が疑われるようなときには,すぐに酸素マスクや鼻のカニューラを用意して酸素補給を開始することができます。
そして自力で移動できない入院患者さんにCTやMRIのオーダーがあれば,ベッドからストレッチャーへ移し替えて検査室まで搬送しなければなりません。自らの研修医時代を振り返ると,大がかりな手術後の患者さんを数多く担当したこともあって,たくさんのチューブが装着された患者さんの搬送は一大イベントでした。足腰には多少の自信があった当時の私は,体位変換用のタオルケットごと患者さんを持ち上げ,「ヨイショ!」と患者さんを移動したものです。
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