書評
日本近現代医学人名事典(1868-2011)
草刈 淳子
1,2
1獨協医科大学大学院
2愛知県立看護大学
pp.480
発行日 2013年6月10日
Published Date 2013/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102790
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
医療関係者の歴史から知る,新しい看護職のあり方
厚さ5cmに詰め込まれた,医療関係者の深い歴史
本書の書評を依頼された時,5cmほどもある分厚さを前に,思わず「どなたか別の方に…」という言葉が口をついた。編者の泉孝英氏は,1936(昭和11)年生まれ,1960(昭和35)年京都大学医学部卒とのこと故,筆者とほぼ同年代である。よくもここまで纏められたことと感心した。しかし,読み始めた途端にのめり込んだ。本書は,1868(明治元)年から2011(平成23)年までの145年間に,日本の医学・医療に携わった3762名の方々に関する記録集である。医師,看護職はもちろん,医療に関わられた法律家や行政官も対象となっている。
日本の看護黎明期では,外国人ナースのツルー,ヴェイッチ,その教育を受けて東大病院初の外科看病婦取締となった大関和,いま話題の新島八重など。戦後では,新たに設立された日本看護協会の井上なつえ会長,厚生省看護課初の看護職保良せき課長,さらに1952(昭和27)年に設立された初の看護系大学の高知女子大学の和井兼尾や,その翌年にできた東京大学医学部衛生看護学科初代主任教授の福田邦三,基礎看護学の湯槙ますほか,各地の実践現場で活躍された,今は亡き方々のお名前とその活動歴が収載されている。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.