連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・77
人は未知の誰かに支えられて
柳田 邦男
pp.588-589
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686102489
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絵本の世界に子どもだけでなく,おとなまでが魅せられるひとつの理由は,現実世界と空想世界の境目がなく,両者が混然一体となっているからだ。もっとも感性の衰えたおとなは,どうしてもカネやモノや地位など現実世界のことにしか興味をもたなくなり,空想世界のことを子どもだましだぐらいにしか思わなくなる。
しかし,子どもの感性は,そんなつまらない現実世界のことより,無限に広がる空想世界のほうに興味を抱く。これは絵本だけでなく童話や昔話についてもいえることだ。しかも,子どもにとっては,空想世界も現実なのだ。
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