特集 看護部のマネジメントは病院移転でどう機能したか――日本赤十字社医療センターの場合
―病院移転の実際[その1] 「患者移送」―事前の準備が成否を分ける
大和田 恭子
1
,
佐藤 直子
1
1日本赤十字社医療センター看護部
pp.790-797
発行日 2010年8月10日
Published Date 2010/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101823
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はじめに
国内最大級の周産期部門,特に重症児の多いNICU・未熟児室を抱える大規模な急性期病院は,いったいどのくらいの時間ですべての入院患者を移送できるのか。
患者移送ワーキンググループ(以下,移送WG)が本格的に計画を検討し始めたのは移転からおよそ10か月前の2009(平成21)年2月初旬であった。直近に移転を経験したいくつかの病院をヒアリングした際には,数百名規模の患者数でも半日以内で終了できたと聞いたが,いずれも10床以上のNICU,未熟児室を含めた50床以上の大規模な周産期部門をもつ病院ではなかった。
病院全体の患者を移送するプランはどのような形が理想なのか。私たちは特徴であるNICU・未熟児室の患者移送が成功のカギと考え,まずはその検討に入った。看護師長をはじめとするNICU・未熟児室スタッフと議論やシミュレーションを重ね,移送経路を確定し,搬送に必要な要員と器材を確保する見込みができ,現実的なプランが形になったのは10月に入ってからだった。これによりすべての患者を12月28日の1日で移送することが固まった。
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