書評
『JJNスペシャルNo.85 安全・確実・安楽な がん化学療法ナーシングマニュアル』
渡邉 眞理
1
1神奈川県立がんセンター医療相談支援室
pp.553
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101516
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求められるがん化学療法の質向上
がん化学療法は,2002(平成14)年からの診療報酬改定と「がん対策基本法」(2006年)に基づく「がん対策推進基本計画」の成立により,社会的にも注目されている。さらに,「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」の改定(2008年3月)では,がん化学療法の提供体制について,緊急時の体制,レジメンの審査などを行なう委員会の設置とキャンサーボードとの連携協力,がん化学療法に携わる専門的な知識・技能を有する医師・看護師・薬剤師の配置など,がん化学療法の安全体制の充実と質の向上が求められるようになった。以上のことに関連するだけではなく,多くの病院で,がん化学療法を病棟・外来において安全に実施することは管理上の大きな課題である。
編者である飯野京子氏と森文子氏はがん化学療法看護認定看護師コースに5年間携わってきた経験から,本書のメッセージを,“看護が支える「安全」「確実」「安楽」ながん化学療法”としている。その柱は,次の3点である。
1.劇薬・毒物である抗がん剤の「安全」取り扱い
2.薬の効果を最大限に,患者への負担を最小限にする「確実」投与管理
3.不可逆である有害事象を最大限緩和し,長期にわたる治療において患者が「安楽」に過ごせる支援
本書はこのメッセージに沿って実践的に活用できるよう構成されている。
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