連載 医者ときどき看護師・19
涙
平林 大輔
1
1(社)地域医療振興協会・東京北社会保険病院
pp.566
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101511
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先日,ニュースを見ていたら,お台場に等身大のガンダムがつくられるという話を見つけた。アニメ放送30周年を記念してのイベントとのことだが,私のようなガンダム世代の人間は,微妙に童心をくすぐられつつも,もうそんなに月日が経ったのかとちょっとノスタルジックな気持ちになったりした。それとともに思い出されるのが,エンディングテーマの「おとこは~,なみだを~,見せぬもの~,見せぬもの~♪」というフレーズだ。当時はこれを言葉通り受け止めて,「そうか,男は絶対に泣いちゃいけないんだな」と思っていた。
これに限らず,日本人はやはり感情の表出が少ないと思う。笑ったり怒ったりもさることながら,人前で泣くことなどは「みっともない」とさえ考えられている節がある。しかし,4月から産婦人科を始めて,この「人前の涙」,特に「男の人前の涙」に触れることが多くなった。立ち会い分娩のときである。
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