特別記事
看護IT化によるBusiness Process Reengineeringを再考する―HIMSS Asia Pac 09での議論をふまえて
瀬戸 僚馬
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1東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科
pp.544-548
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101503
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はじめに
2009(平成21)年2月,マレーシア・クアラルンプールのプリンスコート医療センターにおいて,HIMSS Asia Pac09(医療情報管理システム協会アジア太平洋地区大会)が開催された。これに併せ,「看護情報学シンポジウム ビジョンから現実へ――看護ITの経験」が開催された。このシンポジウムの趣旨は,医療の質を向上させるために「ITというツールを使って,どのようにケアの業務プロセスとワークフローを改善させるか」を,看護師などの臨床家と管理者で議論することであった。そのなかでも,看護記録などの文書作成,投薬管理,患者の動静管理という点に焦点がおかれていた。参加者は,開催地のマレーシアや隣国のシンガポールからが多く,オーストラリアの看護情報専門家や医療産業の経営者もみられたが,邦人参加者は筆者のみであった。
もちろん,わが国でも看護の情報化のための議論は数多く行なわれてきた。ただ,業務プロセスやワークフローの改善といったいわばBusiness Process Reengineering(BPR:業務プロセスの再構築)といった視点が少し弱いような印象も受ける。そこで,本稿ではこのシンポジウムの概要を報告しつつ,看護の情報化によるBPRの方向性について筆者なりの視座を紹介したい。
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