特別記事
がん末期の緩和ケアの質を高めるために何ができるか―診療報酬算定要件の変化とスピリチュアリティの重要性をふまえて
一戸 真子
1
1上武大学看護学部
pp.536-543
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101502
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「緩和ケア」の定義
人にはさまざまな死に方がある。自分がいったいどの死に方によって命を閉じることになるかは,見当もつかない。自らの「死」がいつどのような場所でどのような形で訪れるのか,原因は病気なのか,事故なのか,そして突然なのか長期療養の末なのか,今のところ全く予測がつかない。誰がどのような死に方をするかについて知っているのは神様だけであろう。
わが国の死因順位統計を見てみると,1981(昭和56)年より日本人の死因の第1位を独走中なのは「悪性新生物」,すなわち「がん」である1)。さらに時代をさかのぼってみると,「悪性新生物」は1955(昭和30)年から1980(昭和55)年まで第2位が長く続いていた。このことから考えると,がんは50年以上克服されていない疾患ということになる。もちろん,早期発見や治療法のめざましい進歩により多くの命が救われ,生存率も著しく伸びている。しかし,依然死因の1位であることからすると,残念ながら未だ克服しきれていないのである。
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